恩師

先生からの返信

◆夜、携帯に返信が届く。先生のお姉さんからの返信。 「ようやく楽になれたのではないかと思う半面、大変残念という思いもあります」。 初めて涙が出た。 残念だ。先生、先生は幸せでしたか?充実した人生でしたでしょうか? ご自身の意を貫き通し、幸せでし…

逝去

◆11時過ぎに母から電話。恩師が亡くなったとのこと。 お姉さんの家に遺体が運ばれたようだ。 読めないことはわかりつつ、いつものように恩師の携帯にメールを送る。 「先生に教えていただいたことを誇りに思います。どうぞ、安らかにおやすみください」

だれかが風の中で

◆市川崑が亡くなった。彼が監督をした『木枯らし紋次郎』が大好きで、毎週テレビを見ていた。中村敦夫のはまり役、クールなところがコドモから大人になりかけの私にとって、とてもカッコよかった。木枯らし紋次郎を最初に教えてくれたのは恩師。勉強の合間に…

奥様逝去

◆恩師の奥様が亡くなった。恩師の癌がわかった後、奥様も癌になっていたのだが、今年のお正月に緊急入院。癌が全身に転移していた。それでも恩師は、長くはないだろうが私よりも長く生きるだろうと知らせてきていたので、そうなのだと思っていた。腹水を抜く…

退院

◆恩師からメール。20日に退院したという。18日に到着したグライダーの写真とレポートへのお礼。 私も大空を飛翔したような気分になる事が出来ました。 言葉が出てこないくらいに素晴らしさを感じました。 よかった。本当によかった。

最終段階

◆入院中の恩師にグライダーの写真とGPSデータで作った航跡を送った。今日届く旨をメールすると、恩師から返信。 私の体は、いよいよ最終の段階に入ったようです との返信が届く。残された時間の1秒、1秒を、生きていることの喜びを味わい尽くしてほしい…

グライダー

◆12月上旬に抗がん剤を注入する手術を受ける予定だった恩師は、入院したものの手術が1週間延期され、まだ入院している。予定が変わらなければ来週早々に手術のはず。 ◆恩師とのメールのやりとりのなかで、グライダー試乗に関する話題が増えてきた。友人の…

5回目の動脈塞栓術(TAE)

◆恩師とは週に2回、携帯でメールのやり取りをしている。もっぱら私がご機嫌うかがいや近況を送り、それに先生が返信をくださるというもの。返信は当日もしくは翌朝に届く。時に何も書くことが無いこともあるのだけれど、それでも連絡を取りたい、すこしでも…

写真を送る

◆グライダーの写真を携帯で送ったが、先生の携帯では見れないとのこと。早速プリントして宅急便で送る。「楽しみにしています」と携帯メールが届く。明日には届くはず。

釣り再開

◆恩師は、秋になったのを待ちかねて、朝の涼しい間に2時間ほど釣りをしたらしい。早く寒くなるようにと願う。

CT

◆恩師の携帯にグライダーの写真を送るが、どうも見れなかったようだ。明日はCTを撮るとの事。夏をなんとか凌いだ恩師は9月を生きて迎えれたことを喜んでいる。早く寒くなってへらぶな釣りに行きたいようだ。釣りをしながら死んでも本望だという。一日も早…

恩師その後

◆恩師からメールが届く。 抗がん剤で38度から39度台の熱が続いているが、それでも「元気」だとのこと。ガンになってから二度目の夏が迎えられたことが嬉しいと書いてあった。私もそう思う。夏のエネルギーは余命いくばくもない恩師には酷だろうと思うが、そ…

恩師その後

◆恩師は7月末に入院し、塞栓術を受けた。できることは限られているという。術後約18時間、足を動かさずにベッドに寝てすごし、38時間の絶食をしたのが大変だったというが、熱はあるもの、経過は順調な様子。少しでも楽になりますように。

恩師からのメール

◆恩師からメール。 先週の検診で主治医から、もう手の施しようがないと言われたとのこと。5月下旬から癌が日に日に成長し、体の上から触ってもそれが分かるようになったという。肝機能も低下し、手術もできないらしい。あと半年と言われたのが1月。半年目の…

返信

◆そんな話を恩師にメールしたところ、恩師から返信が来た。 体はだいぶ弱ってきているようですが、気持ちはおだやかです。 痛みや不快感にとられることはもちろんありますが 多少のことでは表情には出ないと思います。 今は緩和ケアも進んでいますので、ある…

退院

◆恩師は予定よりも早く退院。今は家に居る。週に1度のメールをやり取りしている。今日は思いのほか体調が良いようだ。日々を大事にしてください、先生。

恩師その後5

◆恩師が入院したようだ。4月の終わりから入院し、週末は自宅に帰っているようだ。携帯のメールのやり取りをしている。ホスピスだろうか。いよいよ秒読みが始まったのかもしれないと思う。

恩師その後4

◆恩師の状態があまりよくないようだ。 携帯にメールをしたところ、「昨日は体調が悪く、つらく苦しかった。が、しかたのないこと」との返事が来る。あと半年と言われたのが1月。あと1ヶ月すこしでその期限がくる。 ◆先生は漱石の「思い出すこと」の中で、瀕…

夏目漱石

◆恩師が最近読んでいる本。病気になって、周囲との距離感が変わった、とくに自然との距離が変わったそうだ。自然と自分との間に距離を感じるのだという。思い出す事など 他七篇 (岩波文庫)作者: 夏目漱石出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1986/02/17メディ…

恩師その後3

◆先生はのんびりとした生活リズムを崩していない。この冬は好きなへらぶな釣りに日をおかずに出かけ、「真冬に3匹も釣りあげるというのは相当な腕なんだよ」と自慢する顔は、釣りで日に焼けている。 ◆「1月に、主治医に『あとどれくらいもちますかね』と聞い…

恩師その後2

◆花とお菓子を持って、先生の自宅最寄駅へ。先生が改札口で出迎えてくださる。すこしやせ、歩くのもゆっくりだがまずはお元気そうな様子にホッとする。自宅にうかがい、奥様の出迎えを受ける。奥様はもともとお嬢さんらしさを失わない、軽やかな人。変わらぬ…

恩師その後1

◆帰省にあわせて恩師のお見舞いに行く。恩師の状況は、1月に緊急手術を行い、その後体調は良くないが精神的には落ち着いているとのこと。一方、奥様は20年前に完治した乳がんが骨に転移し、良くない状況。恩師から23日はCTを受けるので24日に来るようにと…

恩師のその後

◆2005年8月に肝臓癌で余命半年から1年といわれ05年11月に生前葬を行なった恩師は、その後数回の手術を受けつつも元気に心穏やかに過ごしている。2ヶ月に1回程度の手紙のやり取りをしていたが、先日の手紙によると、1月に緊急手術を受け、その後体調が思わし…

アップルパイを送る

◆このアップルパイを恩師に送ろうと思う。 アップルパイは恩師の好物の一つ。生前葬(http://d.hatena.ne.jp/Catalyst/20051120/1132717894)を主催した恩師は、その後も自宅で日々を過ごしている。あと半年か1年といわれたのが7月下旬から8月。生前葬を行っ…

生前葬に出席する 7

◆あれから1週間が過ぎた 改めて、先生にお礼の手紙を出すことにする ◆先生、さよなら ◆写真は、タンネで譲っていただいた灰皿

生前葬に出席する 6

◆翌、月曜。JAL1510便で東京に戻る 伊丹発11:30発。 早めに空港に着き、娘へのお土産を探す。 キーホルダーをリクエストされていたのだが、 「くいだおれ」の根付けにする。 ◆一通り空港をみたところで、ラウンジへ。 数日前からの喉のガラガラが気にな…

生前葬に出席する 5

◆生前葬が終わったのは2時過ぎ。 先生の好物であるアップルパイとお菓子をいただき 会場を去る。 不思議と、 もう会えない、近いうちに亡くなられるんだという認識には、ならない 「またご連絡します」と言いつつ、皆が去っていった。 ◆一人になって、気持…

生前葬に出席する 4

◆先生が私の隣に来た。 遠くから出席したことのお礼を言われる。 涙がでそうになり、おもわず、 「先生、握手しましょう」と言い、先生の手を握る。 暖かく柔らかな手に安堵する。 「最後まで元気でいてくださいね」と伝える うんうんと先生は何度も頷いた。…

生前葬に出席する 3

◆先生の挨拶が終わり、料理が運ばれ、 同じテーブルに座った人たちとのぎこちない会話が始まる。 私のテーブルは、いずれも先生の教え子たち。 「入塾テストに、筆記と面接があった」 「平均80点を取れといわれたよね」 「勉強も教えてもらったけど、中原中…

生前葬に出席する 2

◆先生の挨拶で会がはじまる。 7月下旬にみぞおちに異物感があり、病院で検査を行う。 いくつかの検査を経た後、肝臓癌と診断が下る。癌を切除すれば、余命3年から4年。 このまま放置すれば、半年から1年の余命。いずれを選ぶかを数時間で選択して欲しいと告…