バブル期並の求人倍率

◆07年3月卒業組への求人がさかんだ。バブル期並というのだから、相当のもの。バブル期の採用と言えば、初任給の高騰、寮や福利厚生施設のリッチ化(というような言葉を使っていたような記憶がある。要するに豪勢な施設をバンバン作っていた)飲めや歌えやの採用を行い、挙句のはてにバブル期の入社組は各社のお荷物と化している。もう繰り返して欲しくないなぁ。


◆今年、うちの会社の採用の手伝いをした。いわゆるMGR面接。数々のセミナーに参加し、先輩たちの話も聞き、適性検査も受けた子たちを面接するので、私が何かを説明することはない。私に求められるのは聞き手、しかも優秀な聞き手であることを求められる。一人30分ほどの時間で、彼らの話を通して、資質、志望の本気度、何かあった時にどのような対応をとると推測できるか云々を見ることが必要。学生も準備万端整ってきているので、質問によっては「待ってました」という顔をされることもあるようだ。


◆学生時代のサークルの話をする子たちも多いので、意見の対立やトラブルがあった時にどうしたのかを聞いた。どの子も判で押したように、「下のメンバーの意見を一人ひとり時間をかけて聞き、それらを集約して解決策を出し、メンバー一人ひとりに説明した」と答える。彼らの回答を聞きながら、なんだか気が遠くなった。


◆若手の育成についてはどの企業も悩んでいる。新卒採用が縮小していたこともあり、職場によっては、年次が途切れていることも多く、新人の上が30前後という職場も珍しくない。さらにかつてのような職場ぐるみで新人を育成するという風土が薄れているなか、新人の孤立、OJTがうまくできていない企業が少なくないようだ。そのような環境にこの子たちが入っていたときに、どうなるのだろうと感じた。


◆サークルの時のように「誰かが話をじっくり聞いてくれる」「待っていても説明してくれる」などどいうことは残念ながらない。意見があれば聞かれずとも言えと要求される。わからなければ、わからないと言えと要求される。この違いを上手に乗り越えて行ってくれるだろうか。また各社はそこを上手に支援できるだろうか。それができなければ、彼らの成長曲線は低いまま時間がたってしまい、バブル入社組は・・・と言われることになる。企業にとっても、本人にとっても大きな損失だ。さて、来春、うちの会社に入ってくる子達はどうだろう?

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060425AT1D2505Y25042006.html