桂望実『ボーイズ・ビー』と湯本香樹実『夏の庭』

桂望実の『ボーイズ・ビー』と
湯本香樹実の『夏の庭』を読む

ボーイズ・ビー
夏の庭―The Friends (新潮文庫)

いずれも男の子たち(ボーイズは兄弟・・主に兄、夏の・・・は友達3人)
と老人(おじいさん)との交流を描いた作品。

いずれも、老人と男の子たちとの間に血縁関係はない
ただの他人。

なのだけど、「祖父と孫」でもなく
「友達」でもさらさらなく
なにやら不思議な関係を築く

重松清と違って、両作品ともに「軽い」。
それぞれ、親たちは、死別・アル中・離婚といった
「今」的状況にはあるのだけれど、
さほど現実味もなく、従って、物語の中での必然性も低い

むしろ、ここで見るべきは、
その老人と子どもたちとの関係性だろう

いわゆる「斜め上」の関係。
よく言われることだが、思春期に、
親でもなく、友達でもない、
人生の先輩との関係を持つことが大事といわれるが
ここで描かれている関係は、その構造にあるのだろう

とはいえ、いずれも軽いのだけど。
その分、気軽に「斜め上」と「成長」を読めるのだろう