宵山万華鏡

◆モリミーの新刊”宵山万華鏡”を読了。祇園祭りの宵山を舞台にした中篇小説6編、主人公達が交差し、物語がつながっていく。6編の内容は、↓を参照。
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  1. 小学生の姉妹は甘い香りに誘われるように宵山の街へ。はぐれた妹は、赤い浴衣の女の子たちに導かれて…。「宵山姉妹」
  2. 「超金魚」を育てた男・乙川は、高校時代からヘンな男だった。彼の案内で、宵山の夜を満喫しようとしたのだが…。「宵山金魚」
  3. 期間限定サークル<祇園祭司令部>を結成した大学生たち。愚かしくも壮大な彼らの計画とその目的とは?「宵山劇場」
  4. 夜店の骨董屋で買った万華鏡は、叔父を幻惑した。その中に現れたのは、20年前に姿を消した娘だった…。「宵山回廊」
  5. 目がさめると、また同じ宵山の朝。時の迷路に囚われた男は、この繰り返しから抜け出すことができるのか。「宵山迷宮」
  6. バレエの教室の帰り、姉妹は宵山で賑わう街へ寄り道。姉は怯える妹の手を離し、雑踏に置き去りにした。「宵山万華鏡」

◆最初の『宵山姉妹』を読んで一気に引き込まれた。『きつねのはなし』につながる幻想小説路線だが、宵山金魚、宵山劇場は『乙女』の後日談的な要素も入った京都のオバカな学生諸子の話。そして宵山回廊、宵山迷宮で『きつね』へと戻り、『宵山姉妹』を違う角度から見た話『万華鏡』で、お話がぐるりと一巡して終わる。読み終わった後に、すべての話が一つにつながって、一気に内側に向かって深く広がっていくような、万華鏡をのぞいた時のめまいのようなものを感じた。小さなエピソードばかりが積み重なっていて、その一つ一つが気になる、そんなお話。もう一度最初から読み返したくなる。いつまでも終わらない時間の中で宵山を繰り返す『迷宮』は、ちょうど同じタイミングで見た涼宮ハルヒを思い出した。いつまでもおわらない夏。

宵山万華鏡

宵山万華鏡