メゾン・ファタール その2

Catalyst2008-08-02

ファム・ファタールとは、「運命の女」。男性は、いったんその女性と出会うと、魅力に抗うことができず、振り回されてしまい、時に身の破滅をももたらすという魅力的な女性のこと。メゾン・ファタールとは、その家版。そんな家に出会ってしまって心痛めた話の続き。


◆抽選1位に当たるも、資金計算をした結果、購入を断念して営業に伝えて1件落着。・・・ではなかった。ファム・ファタールたるもの、そんなにあっさりとは離れない。


◆次の顧客へと案内が回ったと思われる数日後に営業から電話。「価格だけが問題なのであれば・・・・」。どうやら2番手の顧客も購入をためらっている様子。「ブラボー!!」夫と二人で、この金額なら「即決」、ここまでなら「検討可能」という価格をはじき出し、営業に提示。押したりひいたりのやりとりをするものの、最終的に不動産会社の用意した価格と我々の「検討可能価格」の間に500万円程度の乖離があったようで、条件が折り合わない。同時に口説いていたのであろう他の買い手が決断した模様で、正味3日ほどの交渉で、決裂とあいなった。


◆そもそもこのマンションは設計段階で周辺住民の反対にあい設計を変更を余儀なくされた。知人によると建築反対が出た場合は周辺住民にお金が配られることもあるらしく、その金額はマンションの売値に上乗せとなる。このマンションがそうかどうかは知らないが、設計から販売まで時間がかかったのは事実。おそらく通常以上にコストがかかったであろうと思われる。周辺地域の坪単価をはるかに凌駕する価格にも、同時期にうりだされた新築物件の中でも高い価格にもうなづける。営業の値引き交渉もかたくなだった。


◆あきれるほど「高値」で、しかも手に入れた後も「お金をつぎ込みたくなって」、結果、自分の老後が無残になるかもと不安がよぎり、友人にメールで「50歳を前にして、美しい女優にほれて貢ぎこんで、年をとって痴呆症になったら、捨てられてしまった某俳優みたいにならないようにしたいわ」と書きつつ、それでも惹かれるだけの魅力があったんだろうなぁと俳優に同情してしまう。まさしくファム・ファタールならぬ、メゾンファタールな物件。悪女は魅力的だ。