微睡みのセフィロト

冲方 丁の『微睡みのセフィロト』を読み返す。美しい話だと思う。改造を施され強靭な男性と、高い能力を持つ少女という組み合わせは彼の小説に良く出てくるペア。小動物(人語を話すネズミや、主人公と男同士の目配せができる犬、動物ではないが妖精)との3人で事件に立ち向かうというのが定番のようだ。そのなかでこのセフィロトは少女がもっとも落ち着いていて、静かに話がすすんでいく。また戦い方や風景が美しいのも特徴。この話の中で幾度も登場する月の光のように、冷たく澄んだ印象が残る良い話。

微睡みのセフィロト (徳間デュアル文庫)

微睡みのセフィロト (徳間デュアル文庫)