在日外国人留学生の日本での就職

◆在日外国人留学生の就職に関しては、いくつかの根本的な問題があり、解決には時間がかかるだろうと私は思っている。今回の施策は悪くはない。が、その抜本的な解決法にはならないと見ている。
なぜなら、

また、留学生の日本企業就職率が伸びない理由となっている、日本語の力不足や企業風土の特徴をあまり知らないことなどを解消するため、特別コースには実用性の高い日本語会話の授業や日本の企業文化などを教える授業のほか、インターンシップ制度も盛り込んでもらう。

留学生の就職率が伸びない真の理由は、日本語の力不足や企業風土の特徴を「知らない」ことではないと私は思っている。日本企業の「企業風土」そのものにあるのではないかと思うからだ。


[日本企業の問題]

  1. 時間軸の問題

 日本では大学での専攻が入社後の仕事に直結するケースは少ない。理科系大学院の研究者を除いては皆無といっても過言ではない。では何をもって採用基準とし、何をもって配属の基準とするのかといえば、学生の潜在能力(これは企業の彼らへの期待と置き換えていい)。彼らの過去の経験をヒアリングしつつ、学習意欲や学習姿勢が身についているか、困難を乗り越えようとする意欲と手法をもっているか、失敗から学んだ経験もしくは意欲があるかなどなど。これらが表面に出てくるのには時間がかかると企業も認識している。よって、入社数年は大半が同じセクション、同じ職種につくことになり、その後、各セクションに配属され、ようやく個々人の差が出始める。

 このようなスパンで大卒入社を考えた時、いずれ母国に帰るであろう外国人留学生の配属・処遇をどうするかは非常に難しい問題になる。時間の長短の問題ではない。10年ならば10年という時間を区切り、その中で彼らに何をどこまで期待していくのか、またその後のキャリアをどのように描くべきかということを明文化することの難しさだ。これは在日外国人留学生だからではなく、新人育成にも当てはまる、日本企業の問題だ。しかしこれを自社の課題として認識している企業も少なく、留学生にとって気の毒なのは、彼らの採用を通して日本企業はこの課題に直面せざるを得なくなることだ。無論、彼らも同様に先々のことを就職する前に決断することを強いられる。これは双方にとって入り易い入り口ではない。


アジア留学生に奨学金、日本で就職促す 2千人に国支給
2006年08月20日06時24分
 中国、韓国などアジア諸外国の優秀な人材に、日本企業にもっと入ってもらおうと、日本の大学で学ぶ留学生への無償奨学金制度を07年度から経済産業・文部科学両省が始める。大学・大学院に、採用意欲のある企業と提携して、留学生向けの専門講座やビジネス日本語講座などの2年間の特別コースを新設してもらい、その受講生1人あたり、住居費分、学費免除分、生活費など月計20万〜30万円相当の支給を検討中だ。支援対象は約2000人を想定している。

 特別コースは企業の中核を担える人材の育成が目標で、電機・IT業界、環境関連産業など特定分野の企業群と提携し、それらのニーズにあった専門性の高い授業を想定。また、留学生の日本企業就職率が伸びない理由となっている、日本語の力不足や企業風土の特徴をあまり知らないことなどを解消するため、特別コースには実用性の高い日本語会話の授業や日本の企業文化などを教える授業のほか、インターンシップ制度も盛り込んでもらう。両省が授業内容を審査し、奨学金制度を適用するかどうか決める。

http://www.asahi.com/business/update/0820/001.html