ふたりのイーダ

◆娘が学校から課題図書リストを渡された。リストの中の「戦争文学」から1冊を選らんで読書感想文を書くように宿題がでたらしい。詩歌、古典的名作、現代文学と並んだ戦争文学本の中に、『ふたりのイーダ』があったので、思い立って読んでみる。


◆母が出張に出かけるあいだ、兄と妹は母の実家に預けられる。夏休み中の1週間ほどのお話。静かな町を兄が歩いていると、コトコトと音がして、振り返るとイスが一人で「イナイ、イナイ」とつぶやきながら歩いている。イスを追いかけて行くと、そこには人気の無い荒れた洋館がある。イスはかつてそこに住んでいた3歳の娘の帰りを待っているうちに気がつくと一人で町をさまようようになっていた。兄のあとを追ってきた妹は、その洋館に「ただいま」と言って入り、まるで我が家のようにイスとともに遊びだす。というお話。


◆広島の原爆をテーマとする戦争文学。戦争のシーンや原爆被害の話が最小限に留められているものの、せつなさを感じさせる本。松谷みよこは私にとっては「竜の子太郎を書いた大昔の人」でしかなかったので、すこし見直す。

ふたりのイーダ(新装版) (児童文学創作シリーズ)

ふたりのイーダ(新装版) (児童文学創作シリーズ)


◆肝心の娘は未読。
課題図書リストに太宰治の『人間失格』を見つけ、「読みたい!」と読み始めたのはいいが、半分過ぎたあたりで「わからない」と放り出し、塾へと出かけていった。

娘よ、いくら『さよなら絶望先生』に名前が出ていたとはいえ、『絶望先生』を期待して『人間失格』を読むのはあまりにも無謀というものだよ。「カーン、大ハズレ〜。またのお越しを」

さよなら絶望先生(1) (講談社コミックス)

さよなら絶望先生(1) (講談社コミックス)