生前葬に出席する 1

◆11月20日 生前葬当日。快晴
早めに家をでて、宝塚へと向かう。
宝塚駅もすっかり様子が変わっている。
私が宝塚に通っていたのは、もう30年以上も前。
ベルサイユのばら、いわゆるベルバラブームの前なので、
変わって当然だろうなと思う。
当時のスターは、甲にしき古城都鳳蘭、郷ちぐさといった面々。
 モールを抜けて、花の道へ。両サイドに南欧風のマンションやモールが並ぶ。
大劇場を通り過ぎ、宝塚音楽学校前を抜けて、宝塚大橋へ。
橋の袂には手塚治虫記念館。手塚治虫は私の高校の先輩にあたる。
冷たい風が吹き抜ける大橋を渡り、宝塚南口駅そばの宝塚ホテルへ。
ここが今日の会場。


◆会場は2階だが、上にあがる勇気がない。受付にいるであろう先生を見たときに
自分がどうなるか、取り乱さないか、自信がない。
ロビーにあるお店でまずは温かい紅茶を頼む。
心を静めて会場に向かう。
先生がいた。
僧侶の服装をした後姿が見えた。記憶よりもやせていたが、
年をとったからといえる程度のやせ具合で、やつれた感はない。
奥様の姿も見える。同じ塾で先生にならった下の学年の子たちとも出会う。
受付を済ませて、先生にご挨拶をする。
思いのほか元気そうで安心したと伝えると、皆からそういわれるよと先生がこたえる。
6つの円卓に分かれ、それぞれ6−7名で座る。私の席は塾の教え子たちを集めた席。
先生の挨拶で会が始まる