重松清『きよしこ』

そのかたわらで、重松清きよしこきよしこ
を読了。

きよしこ」は、
いままで重松の作品に登場する少年を
「吃音」であるという側面から書いた作品で、
登場する人物も、転校を重ねる家族も、
出世に縁遠いように見える父も、
他の作品に登場する人たちと重なる。

小学校の時に同じクラスにいた男の子が
この主人公と同じ「吃音」だった。
低学年の頃はクラスメートが吃音をからかうが
高学年になるにつれて、からかいも少なくなり
その子が得意なもの、『きよしこ』では野球、
私のクラスメートの男の子は「勉強」で
クラスの中での場所が作られ
会話が成り立っていく。

「吃音」の清君だったのが、「野球がうまい」清君に
なっていくのだろう。
それだけに、高学年になって彼らが感情が高ぶった時に
常よりも「吃音」がひどくなってしまうような場面に遭遇した時、
友達たちが、困惑するような、悪いことをしたような表情を
浮かべるようになるのだろうと思う。
きよしこ」の中に書かれている場面は、
とてもリアリティがある


体をよじりながら言葉を吐き出していた
私のクラスメート。
妹を可愛がり、理科が得意で、お母さんがちょっと怖くて。
彼はどんなことを心の中で話していたのだろうか
飼っていた兎のはなしや、亀のはなしだろうか
いつか聞いてみたいような気がした