1Q84 book3

◆読了しました。book1 book2よりも読みやすくなった感があります。登場人物の個性もハッキリしているし、なによりも非現実的な要素の描き方に唐突感が薄れたように思います。お話はbook1,book2と同様に非現実的な展開をしていくのですが、読んでいるうちに「こういうことだろうな」と思うと、そのような理由付けが後段でなされていたりします。村上春樹の”ファンタジー”モノはどうも好きではないのですが、まぁ、読めるかなという感じでしょうか。book3でも終わりません。それぞれ3ヶ月単位(クォーター単位)になっているので、book4でその後の1−3月を描いて完了ではないかと予想しています。

◆book3で活躍するのは牛河。彼はこのbook3では”トリックスター”的役割を担っています。教団からの指示に従って青豆を捕獲すべく動き回り、やがて天吾に行き着き、あと少しだったにも関わらず、結果的には青豆を教団に引き渡すどころか、青豆と天吾を引き合わせる役回りを担うことになってしまう。頭がいいと自負している彼ですが、彼自身が思うほどには冷静でも頭脳明晰でも冷徹でもありません。ふかえりとレンズ越しに目を合わせただけで心の防御が崩れてしまう。ここは、ふかえりの非凡人性を示すところですが、むしろ牛河の愚かさや弱さが現れているように思います。狂言まわしは狂言まわしらしく物語りから去っていきます。

1Q84 BOOK 3

1Q84 BOOK 3