振り返り② 来年は森絵都じゃないかな

このブログに、中学受験関連のワード検索でこられる方もいるので、その方たちむけにすこし。

◆中学受験の国語(物語文)に出題される小説には、傾向があります。むろん学校によっても傾向がありますが、大別すると

  • 出題頻度の高い作家 たとえば、重松清
  • 出題頻度の高い小説 たとえば、2005年度は『バッテリー』
  • 話題作 たとえば、映画化される、賞をとる

といったカテゴリーに分かれます。


◆これらの本は、塾で出版している雑誌やプリントで、前年の傾向と出題頻度がだされるのでぜひ参考になさると良いと思います。日能研系は進学レーダー。ここで要注意とされた作家の作品に関しては日能研の公開模試でも出題されるので、ダブルでお得です。参照:2005/4/16 意外とおもしろかった「よく出る本」


◆私もこの出題頻度を参考に書籍を購入。読解対策用に私が読んだ書籍は71冊。まずは親が全てを読んだ上で、第一志望校の過去問を参考にしながら出そうな書籍を絞り込み、娘に渡しました。結果、娘の場合、1月受験校1校で2作品、2月1日の第一志望校の物語文、2月2日のチャレンジ校の説明文、さらに1日の試験で合格したので受験しなかったのですが、4日の第一志望校の2回目のテストの物語文に、事前にピックアップしたお話が出題されました。娘は受験した学校すべてで国語の問題に出題されたお話は事前に読んでいたことになります。全校制覇ですね。参照:2006/2/12 データで振り返る中学受験



◆来年の中学受験で出そうだなと思うのは、中学受験の頻出作家でもあり、なおかつ直木賞候補に選ばれた森絵都です。直木賞芥川賞受賞作品もよく出題される本のカテゴリーの一つです。ともに上半期、下半期で選ばれますが、受験問題作成の期間から考えると上半期までが翌年の試験出題の対象。つまり、来年の中学受験であれば、昨年下半期の受賞作+今年上半期の受賞作が対象となります。直木賞を受賞するかどうかはわかりませんが、森絵都は本当によく出題される作家ですし、さらに直木賞候補になったということであれば、候補作だけでなく過去の作品も洗いなおしておいたほうがよいように思います。あとひとりは大御所あさのあつこ。名作バッテリーが映画化されることもあり、すこし気になります。

風に舞いあがるビニールシート

風に舞いあがるビニールシート


◆学校にもよりますが、

  • 同年代の主人公が出てくる話が多いか
  • 成長譚が多いか
  • 現代の社会との接点を持ったテーマ性のある話が多いか

などなど、いくつかの切り口で過去問をご覧になると良いと思います。試験問題の作成は一人の先生に偏らないように、2年から3年で一回りするようにしている学校が多いとも聞きます。2年ごと、3年ごとで傾向を見てみるのも過去問の活用の仕方の一つです。


◆もう一つの効用
受験が近づくとお子さんたちの感じるプレッシャーも大きくなっていきます。両親への反抗なども出てくる頃です。親と子が同じ本を読むということは、本を通して親子が受験以外の会話をするきっかけにもなります。同じ作家の作品を多数読むことになるので、この作家の作品ではどれが好きか?どの本の主人公が一番カッコいいかなどなど、眠りにつく前のひと時に、そんな会話を交わすことは、親にとっても子どもにとっても気持が休まる時になるように思います。時には枕元で対策本として買った物語を読み聞かせするのも良いかもしれません。


◆中学受験をするご家庭は、夏休みに向けて緊張が高まる時かと思います。2月までの長丁場、どうぞ、お子様とのひと時を大切にしてお過ごしください。


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*1:直木賞、とりましたね、森絵都。こうなると森絵都の全著作制覇はMust Doですね。